研究概要 |
TLR4(主に単球/マクロファージ系細胞に存在)とRP105(B細胞、単球/マクロファージ系細胞に存在)は新しく発見されたエンドトキシン受容体である。本研究は敗血症から多臓器障害への進行の防止を、エンドトキシン受容体(TLR4,RP105)と各種サイトカインの発現・機能調節から試みる上での必要な基礎的実験で、病態の進行、すなわち敗血症から多臓器障害への進行中に見落とされがちな、初期自然免疫の中心ともいえるエンドトキシン受容体(TLR4,RP105)が、病態の悪化に関与するか否かを解明するためのものである。これまでのエンドトキシン受容体の研究は、エンドトキシンがはじめて体内の免疫機構(多くはマクロファージ系細胞)に接する部分を中心に論じられてきたが、実際の敗血症患者は常に種々の濃度のエンドトキシン、種々の濃度の薬物やサイトカインに暴露さており、その混乱したメカニズムを正確に証明できるモデル確立は非常に困難であるが、本研究はマウス敗血症モデルとヒト末梢血単核球を用いて、敗血症から多臓器障害に進行するにつれエンドトキシン受容体(TLR4,RP105)発現が低下(←予想)することが、同条件でのサイトカインバランスの推移を指標にすることにより炎症を抑制しようとする結果なのか、あるいは原因なのかが判明すれば、敗血症から多臓器障害への進行の病態把握が可能になり、将来は各種薬剤の組み合わせによりエンドトキシン受容体(TLR4,RP105)の発現・機能調節と、各種サイトカイン発現の選択的調節により多臓器障害への進行の防止に繋がる可能性が高い。現在マウスおよび末梢血単核球でモデル作成中である。
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