研究概要 |
培養破骨細胞の分化(多核化)と機能発現(波状縁形成と吸収能の獲得)に対するRANKLとOPGの作用,またH-ATPaseやカテプシンKに対する特異的な阻害剤の生物学的作用を中心に研究するin vitroおよびin vivoでの実験を行った.主な研究方法は,破骨細胞前駆細胞および成熟破骨細胞の培養,共培養した象牙質切片の反射電子像を基にした画像解析による吸収量の定量的評価,破骨細胞の微細構造観察,液胞型H-ATPase,カテプシンK,カルシトニン受容体の分子発現の光顕・電顕的免疫組織化学,細胞構造と吸収窩の走査電顕観察などであった.その結果,それぞれのサイトカインや阻害剤の特異的作用を明らかにすることが出来た. in vitroの実験系では,単核の破骨細胞前駆細胞を象牙質切片上に培養し,成熟破骨細胞への細胞分化の過程と吸収機能の発現に対するRANKL, OPGの作用およびH-ATPaseとカテプシンK特異的阻害剤の作用を解析した.また多核化した成熟破骨細胞を象牙質切片上に培養し,細胞構造,生存時間,吸収機能の発現に対するこれらの物質の作用について明らかにした. in vivoの実験系では,(1)OPG遺伝子欠損マウスでの軟骨内骨化の解析と歯の移動実験による歯槽骨の構造変化の形態学的解析を行い,OPGの重要性を解析した。まず正常マウスの骨組織におけるRANKLとOPGの局在を,光顕・電顕レベルで免疫染色する.次に正常マウスとOPG遺伝子欠損マウスの軟骨・骨組織の解析を行った. (2)卵巣摘出,(OVX)マウスにおける破骨細胞性骨吸収,破骨細胞数,破骨細胞構造,吸収機能の発現にOPGがいかに作用するかを組織学的・微細構造学的に研究した.また同じ実験系のマウスにビスフォスフォネート)を投与し,OPGの作用と比較検討した。 実験ではマウスにOVXまたは偽手術(Sham)を行い,骨吸収の亢進による1〜2週間後の骨量減少を確認した.対照群のマウスはOVXまたは偽手術後,無処理のまま飼育した.実験群では,OVXまたは偽手術時からOPGまたはBPを連日腹腔内投与し,骨吸収の抑制効果を検討した.
|