骨再生療法のひとつとして骨移植が用いられるようになってきた。これらの移植材にPRP(多血小板血漿)を混和することは速やかな血管新生や骨組織再生を促進する効果があると考えられている。今回は昨年と同様の人工骨に加えて自家骨移植も行った。 研究方法:本実験では骨形成と血管新生について血管鋳型法を用いて観察した。手術直前に採血を行いPRPを作製し、TCP系人工骨と混和した。実験はビーグル犬の小臼歯を抜歯し4実験群に分けた。抜歯・人工骨移植後、90日後に血管注入を行った。自家骨移植は海綿骨と皮質骨を分離して移植、対照群のみでPRPは添加しなかった。 研究成果:PRPなし+抜歯群、太い再生骨梁がみられるが、周囲血管のネットワークは粗く数も少ない。 PRP+抜歯群、海綿骨内部には骨髄血管網の形成がみられる。また再生骨梁間に密な骨髄血管網の配列が観察される。これらの所見からPRP未使用群と比較して抜歯群では、PRPは血管新生とリモデリングに対して働く可能性が示唆される。 PRPなし+TCP群、緻密骨内には顆粒が残存している。海綿骨内では顆粒が核となり骨梁内に骨髄血管も観察される。 PRP+TCP群、海綿骨内の骨梁と骨髄血管の再生は進行している。これらの結果からPRPは血管の新生、リモデリング、さらにはTCP顆粒の吸収が促進することが示唆された。 また自家骨移植実験では、海綿骨移植は抜歯窩中の骨再生を促すのに対して、皮質骨移植は骨形態の保持に働くことがわかった。
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