研究概要 |
骨形成時の血管新生について血管鋳型法(microvascular resin cast method)を用い走査型電子顕微鏡で観察した。平成15年度、16年度の研究からPRPは血管新生と血管のリモデリングに対して働く可能性が示唆された。しかし、単体では足場としての機能は期待できず、抜歯窩に人工骨移植を併用するとさらに血管の再生が速く緻密な骨梁形成が観察された。 平成17年度は自家骨移植後の微小循環を観察した。自家骨を得るために、ビーグル犬の上顎第一大臼歯を抜歯し、周囲歯槽骨を採取し窩を縫合した。移植用自家骨は海綿骨と皮質骨に分類しさらに径の大きい皮質骨は顆粒化した。下顎前臼歯を抜歯し、前方より対照群、皮質骨移植群、海綿骨移植群とし歯肉弁の縫合を行った。これらの実験群にPRPを添加する実験群は現在手術を終え試料作成中である。術後14日、30日,90日後に通法に従って下歯槽動脈より血管鋳型注入を行った。電子顕微鏡観察術後14日後、対照群では、歯肉再生血管により歯槽頂縁は大きく下降し、抜歯窩内の骨添加は幼弱であった。緻密骨移植群では、密に骨顆粒が充填されその間隙に血管形成が見られた。海綿骨移植群では、密な血管新生が生じその間隙には著しい骨添加が観察された。術後30日後、対照群では、多孔性の骨が添加するが、抜歯窩中央部の骨添加は明確でない。緻密骨移植群では抜歯窩内部の骨添加は著しく、骨顆粒は抜歯窩上方のみに残存していた。海綿骨移植群では、抜歯窩中央に至るまで骨が添加・成熟し、一部では新生骨梁が配列していた。これらの実験結果より緻密骨は主に再生の足場となり、海綿骨は血管新生を増加させることにより骨添加を促進させることが示唆された。
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