【目的】再生医療の進歩とともに、狭小な顎骨を増大することを目的として骨移植が用いられるようになってきた。これらの移植材にPRPを混和することで速やかな骨形成が得られることが過去のデータよりわかってきた。この血管鋳型標本を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、骨と血管の新生および成熟過程を形態学的に検索した 【方法と材料】実験にはビーグル犬を用い、両側下顎臼歯部を抜歯した。片側の4窩洞にTCP系人工骨を緊密に充填し移植群とした。また他側は対照群とし穎粒を充填しなかった。また実験動物の血液(2.7ml)より300m1のPRPを作製し、片額の血餅とTCP穎粒に混和し、反対側は対象群とした。手術後90日、実験動物は下歯槽動脈より合成樹脂を注入し、血管鋳型標本を作製し、SEM観察を行った。 【結果】非PRP対象群では、歯槽骨は再生途上にあり骨梁の配列は部分的であった。骨髄中の扁平で径の太い血管は疎なネットワークを形成していた。非PRP移植群では、骨梁が再生しその間隙に血管網はネットワークを形成していた。PRP対象群では、放射状に配列する再生骨梁中には、血管網が緻密に集合していた。非PRP移植群では、再生口腔粘膜下に緻密骨と海綿骨が明確に観察された。骨梁は規則的に配列し、骨髄中には血管網が再生し、その間隙には吸収途中のTCP顆粒が残存していた。 【考察】今回示した人工骨移植群はPRPを用ることで歯槽骨構造の形成を促進すると考えられ、今後の臨床応用に大きな期待が持たれる。
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