研究概要 |
1.P.gingivalisの主要外膜蛋白質に対する抗体の作製 P.gingivalisの標準株であるATCC 33277株を嫌気培養し,菌体から外膜画分を得た.主要外膜蛋白質には7種類の蛋白質が含まれているが,このうち,RagA,RagB,Putative porinを精製した後,抗原としてウサギに免疫を行い,特異抗体の作製を行った. 2.種々のP.gingivalis菌株における主要外膜蛋白質の発現 P.gingivalisの種々の菌株を培養し,電気泳動法によって外膜蛋白質パターンの比較を行うとともに,作製した特異抗体を用いて,各菌株で各主要外膜蛋白質が普遍的に発現しているか,また,菌株間で変異があるのかを調べた.RagA,Putative porinは同様の分子量のものがいずれの菌株にも存在した.ところが,RagBは菌株によって移動度が異なるだけでなく,特異抗体の反応性も著しく異なっていた. 3.P.gingivalisの主要外膜蛋白質発現に及ぼす環境因子の影響 主要外膜蛋白質発現への環境因子の影響をバッチ培養により検討した.温度は最も影響を与える環境因子であった.ジンジパインの発現が低下したが,RagA,RagB,Putative porinの発現はあまり変化しなかった.pH,浸透圧,培地成分や培養時間を変化させても主要外膜蛋白質像にはほとんど影響しなかった.また,培養環境の制御が可能な連続培養法により増殖速度の影響を調べた.外膜に存在するジンジパインのと活性は増殖速度を変化させても変化しなかったが,培養上清中に放出されるジンジパインの量と活性は増殖速度が遅い時に高くなる傾向があった. 4.二次元電気泳動によるP.gingivalisの主要外膜蛋白質の解析 二次元電気泳動により主要外膜蛋白質を解析するために,試料調整法や泳動条件の基礎的な検討を開始している.
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