研究課題
基盤研究(C)
マウス胸腺由来cDNAからクローニングした3種類のRANKLアイソフォームで、既知のRANKLと同じ構造を有するRANKL1、細胞質内領域の一部を欠く構造を有するRANKL2、細胞質内領域および膜貫通領域を欠く構造を有するRANKL3それぞれを発現ベクターに組み込み、NIH3T3細胞にトランスフェクションして安定形質発現細胞を作成した。さらに、複数のRANKLアイソフォームの組み合わせをトランスフェクションした安定形質発現細胞も作成した。これらの細胞を用いてマウス骨髄由来マクロファージと共存培養させ破骨細胞骨形成能を調べたところ、RANKL1およびRANKL2は単核および多核の酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ陽性細胞を形成するが、RANKL3にはその能力がないこと、RANKL1とRANKL2を共発現させると多核化が促進されるが、そこにRANKL3をさらに発現させると、逆に破骨細胞の多核化が阻害されることがわかった。以上の結果から、3種類のRANKLアイソフォームの組み合わせにより骨代謝が調節されていることが示唆された。次にサンドイッチELISA法を開発し、骨粗鬆症外来を受診した閉経後女性患者50名の血清中の遊離型RANKL濃度を測定したところ、血中RANKL濃度と患者の年齢、および尿中デオキシピリジノリン濃度との間に正の相関が認められた。以上の結果から、血中RANKL濃度が骨代謝を反映している可能性が考えられた。また、ヒト末梢T細胞でのRANKLの発現はきわめて少ないこと、活性化したT細胞、炎症性疾患の患部より採取したT細胞では発現量が増加していることを確かめた。さらに、胸腺上皮由来細胞株でRANKLが発現していることを確かめた。この結果から、RANKLが破骨細胞系性能と独立してT細胞に対して何らかの機能を果たしている可能性が考えられた。
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