研究概要 |
ヒスタミンH3受蓉体には3種のisofoml(H3L, H3S, H3(397))が報告されている。先に我々はTCDD投与によりラット視床下部のヒスタミンH3受容体mRNA発現が増加することを確認したが,これがいかなるisofomの発現変化を反映したものか明確でない。したがって,今年度はisoformの発現量と機能変化に焦点を絞り検討すべく計画した。 1 H3受容体isoformの発現量に対するTCDDの影響の検討 当初の計画に従い,RT-PCR法を用いてH3受容体isoformの発現量を検討するため,まず,各isoformに対するプライマーを設計しPCRの増幅効率を検討した。isoformは全てスプライシングvariantのため,欠失端部分には類似配列が多く各isoformの分離定量は困難であったが,H3LだけではあるがPCRで分離定量できる系を確立した。このプライマーセットの有用性を検討するため,比較検討として,摂食系および卵巣摘出系で短期的および長期的な摂食量変化とH3受容体の発現変化をみた結果,絶食24時間では総H3受容体,H3LのmRNAは共に減少したが,絶食72時間では共に増加する結果が得られ,絶食初期に視床下部ヒスタミン量が増加するという報告を裏付けた。また,卵巣摘出系においては,レプチン受容体量に変化が認められると報告のある卵巣摘出7週および22週後でも,卵巣摘出群とシャム群に視床下部H3受容体(総H3受容体,H3L)mRNA量に有意差はなく,卵巣摘出時の摂食量変化にはH3受容体の発現変化は寄与していないことが考えられた。 2 H3受容体4種variantsの機能解析 各H3受容体isoformの翻訳領域全長cDNAは得られたが,現在まで,順配列の発現ベクターが得られておらず,引き続き検討を必要とする。
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