研究課題
基盤研究(C)
関葉系幹細胞を骨に分化誘導すると、誘導後5日目からDECの発現が上昇し始め、14日目でピークに達した。この発現パターンは、骨特異的遺伝子のパターンとよく似ていたので、ウィルスベクターを用いてDEC1を関葉系幹細胞で強発現させ、その影響について検討した。DEC1の強発現によって、骨特異的な遺伝子のいくつかの発現が上昇し、さらに細胞外基質の石灰化の促進も認められた。逆に、関葉系幹細胞を脂肪細胞に分化誘導をかけるたところ、誘導後3日目から7日目にかけてDEC1の発現が減少した。そこで、同様にDEC1を強発現させた関葉系幹細胞を分化誘導したところ、脂肪分化が抑制された。これらのことから、DECは骨・軟骨特異的な転写因子と協調して分化誘導に関与する一方で、脂肪分化を抑制し、分化方向の決定後の初期において重要な働きをしていることが明らかになった。膜トランスフェリン(MTf)トランスジェニックマウスについて解析を行った。MTfトランスジェニックマウスでは、体長や体重等には有意差はないももの手や鼻がやや短くなる傾向が認められた。組織検索の結果、肋軟骨成長板の肥大細胞層に軽度の肥厚が認められた。DEC1、DEC2の骨および軟骨での遺伝子発現を調べるために、ラットを明暗(12:12h)および恒暗条件下で飼育し、4時間おきにその発現の変化を検討したところ概日リズム発現が確認された。さらに、プロモータアッセイや結合アッセイによって、このリズム発現にはDECプロモータ上のCACGTGのEボックス配列を介して転写因子Clock/Bmal1が作用することが重要であることが明らかになった。また、DECタンパク自身は、Bmal1に結合してその活性を阻害した。これらのことから、DECは、細胞分化および概日リズムの調節因子であることが明らかになった。また、MTfは、骨・軟骨分化に重要な因子であり、今後の解析の継続が必要である。
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