研究概要 |
破骨細胞において特異的に発現する転写制御因子OCZFの機能について明らかとするために、OCZF(Osteoclast zinc finger protein)のマウスのホモログであるLRF(Leukocyte-related factor)のターゲットベクターを用いてES細胞に遺伝子を導入することによりLRF(+/-)のES細胞を作成した。このLRF(+/-)のES細胞のクローン6個を用いて、さらにG418の濃度をあげていくつかの耐性ES細胞のクローンについてスクリーニングを行い、LRF(-/-)ES細胞の作成を行った。現在いくつかのクローンを用いたin vitroの破骨細胞分化におけるOCZFの機能についての解析を行っている。 LRFノックアウトマウスは既にアメリカの研究室で作成されていることが判明し、LRFノックアウトマウスは胎生致死であることが明らかになった。このような理由から、現在既に作成していたES細胞のクローンを使用しノックアウトマウスを作成するより、アメリカで作成されたノックアウトマウスを使用した実験を始めることとなった。現在、日本の他の研究室との共同での実験を始め準備を整えているところである。 In vitroでのOCZFのノックアウトを行うため、RNAi(干渉)を用いたLRFの発現抑制を試みた。まず、破骨細胞の分化への影響について調べるため、マウスマクロファージ細胞株RAW264細胞を用いて、細胞にDNAやRNAを効率よく導入する方法について検討した。その結果、アマクサ社のNucleofectorを用いてマクロファージ細胞内へ80%以上の高効率でDNA, RNAを導入できることがわかった。LRFを発現抑制するRNAiをいくつかデザインしRAW264細胞に導入しRANKLによる破骨細胞の分化誘導を試みた結果、LRFの発現を抑制することにより、破骨細胞の分化がdose responseに抑制されることが明らかとなった。
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