実験動物として若齢アカゲザル1頭を用いた。動物に頭部固定用金具を取り付けた後、防音室内でモンキーチェアーに座らせ、視覚刺激に基づく行動選択が要求される認知課題を行わせた。 サルがモンキーチェアーの左右のレバーを押すと課題がスタートし、眼前に置かれたディスプレイに丸、三角および四角の3種類の図形のうちから一つがランダムに提示される。それぞれの図形はGO(開口運動または閉口運動)およびno-GOをサルに指示している。サルは試行錯誤を繰り返したのち、各図形が指示する行動を理解して課題を成功させ、報酬を得るに到る。サルが30回報酬を得た後、図形と行動指示の組み合わせが変更され、再びサルは試行錯誤することになる。課題を理解しているかどうかは、報酬の得られる図形を最初に選択してからの報酬獲得率(完全に習得していれば100%)、および報酬を初めて得るまでの試行回数(完全に取得していれば2回以下)で求めているが、未だサルがこの課題を完全に理解しているとは言えない状況にある。 当初、認知課題としてリーチング課題を行わせていたが、サルのトレーニングの過程で支障が生じ、研究代表者が従来行わせてきた顎運動課題を取り入れた認知課題に変更した。そのためプログラム作成およびサルのトレーニングに、予定していた以上の時間を要しているが、近日中に前頭連合野からの神経細胞の活動記録を行うことができる。
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