研究課題/領域番号 |
15591976
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
堀内 登 奥羽大学, 歯学部, 教授 (00107294)
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研究分担者 |
松沼 礼子 奥羽大学, 歯学部, 助手 (30296040)
阿部 匡聡 奥羽大学, 歯学部, 講師 (10254872)
川根 徹也 奥羽大学, 歯学部, 講師 (00265208)
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キーワード | statins / MC3T3-E1 cells / vascular endothelial growth factor (VEGF) / BMP-2 / prenylation / hypoxia responsive elements (HRE) / mineralization / PI3 kinase |
研究概要 |
コレステロール合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の特異的阻害剤、スタチンは、高コレステロール血症治療薬として広く用いられている。最近、私達はスタチン類の一つであるシンバスタチンが骨芽細胞の分化を促進させることを見出した。スタチンの骨芽細胞分化促進作用は骨形成因子の一つであるBMP-2の発現促進によることが知られている。今回私たちは、シンバスタチンにより誘導されるBMP-2以外の骨形成因子を検索した。マウス骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞を用いて、骨分化誘導培地(25μg/mlアスコルビン酸及び10mMβ-glycerophosphateを含むα-MEM培地)で培養、シンバスタチンや各種インヒビターを加え、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor (VEGF))のmRNA量及びタンパク質量を測定した。その結果、シンバスタチン添加により、VEGF mRNA量は時間経過と共に、また用量依存的に増加した。VEGF mRNA発現量はシンバスタチン12時間の処理、また10^<-6>Mの濃度で最大となった。コレステロール合成の中間代謝産物であるメバロン酸及びGGPPの添加により、シンバスタチンの効果は消失した。また、タンパク質のPrenylationの阻害剤であるManumycin Aの単独添加により、VEGF mRNA量は増加した。WortmanninなどのPI3-キナーゼ阻害剤により、シンバスタチンの効果は消失した。シンバスタチンは、骨芽細胞において、メバロン酸およびGGPPの合成を抑制する。GGPPの低下はSmall GTPaseなどのタンパク質のPrenylationを抑制する。その結果、PI3-キナーゼ経路が活性化され、VEGFの遺伝子の転写が亢進される。シンバスタチンの骨芽細胞分化促進の機構はBMP-2の発現促進によるだけでなく、VEGF合成の促進も関与していると考えられる。
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