研究課題
ヒトや動植物などの生物資源に由来するシステインプロテアーゼインヒビターを網羅的に解析して本年度得られた成果を以下に述べる。1.リバースザイモグラフィーで日本産ウナギ体表上皮抽出液試料に複数システインプロテアーゼインヒビターが存在することを確認した。そのうち、Eel-CPI-1,Eel-CPI-2と命名したインヒビターを単離した。Eel-CP-1はレクチン活性を持つ新型のシステインプロテアーゼインヒビターであることが解明された。Eel-CPI-1はウナギ名費レクチンAJL-2と同一蛋白質であることが判明した。副次的にS-16pLと命名した蛋白質(ウナギレクチンAJL-1と同一)が大量に精製されたので、う蝕原性口腔細菌や歯周病原性口腔細菌に対する生理作用をしらべた。その結果、このレクチンは複数の口腔細菌に対してバイオフィルムの形成抑制作用や増殖抑制作用などを発揮することが判明した。安全性が確認されれば口腔保健に活用できる可能性がある(平成17年2月8日付け日本歯科新聞に記事掲載)。2.枯草菌(納豆菌)でシスタチンSとSAを大量生産(1リットル培養あたり約1グラムの組換えシスタチンを生産)する技法を確立した。しかしながら完全長の組換えシスタチンを製造するために更なる改良が必要である。3.大腸菌K12JM109で生産した組換えシスタチンSA1およびSA2を活用して2種のモノクローナル抗体を作成した。最近、R&D社から発売されたヒト唾液型シスタチンモノクローナル抗体とはファミリー2のヒトシスタチン群に対する交差性において著しく異なっていた。4.米のオリザシスタチン群に対応する組換え蛋白質を作成して特性解析を行なった。その結果、我々が発見したオリザシスタチ-IIIは既知のオリザシスタチン-I,オリザシスタチン-IIとはシステインプロテアーゼ阻害特性や熱処理による特性が異なる。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件) 産業財産権 (1件)
Comparative Biochemistry and Physiology Part B Biochemistry and Molecular Biology (In press)
Molecular Immunology (In press)
Abstracts of 2004 World Rice Research Conference
ページ: 175
Biological Chemistry Vol.385,No.5
ページ: 419-422
The Journal of Oral Biosciences Vol.46,No.5
ページ: 176
生化学 76巻・8号
ページ: 817