研究概要 |
ラット耳下腺を細胞分画し,得られた分泌顆粒膜上に存在するモータータンパク質を調べた。ミオシンファミリー,キネシンファミリーおよびダイニン複合体についてWestern blottingにより検出した。ミオシンは,膵臓分泌顆粒に報告されているタイプIは検出されず,約200kDaにミオシン抗体で免疫染色されるバンドが検出された。が,どのタイプかは同定できていない。キネシンファミリーではubiquitous kinesin (Kif 5B)が検出された。他に,Kif 5A, Kif 3A, Kif C2はWestern blottingでは検出されなかった。Dynein, dynactin p150,dynactin p50が検出され,これらは分泌顆粒膜上で複合体を形成していることが免疫沈降からわかった。以上の結果の一部を,"The effects of cytoskeleton-modulating reagents on the amylase release from rat parotid acinar cells induced by the β-adrenergic and the muscarinic stimulants"として現在投稿中である。また,分泌顆粒膜についてアクチン,チューブリン,SNAREタンパク質,Rabタンパク質などの抗体を用いてWestern blottingしたところ,分泌顆粒は単一ではないことがわかった。すなわち,アクチンを含んでチューブリンを含まないもの,両方含むがその比率が異なるものなどが存在しており,それによってモータータンパク質も異なる可能性がある。現在,この研究について現在投稿準備中である。以上の本年度の研究により,分泌顆粒膜上に存在し,その輸送に関わるモータータンパク質を明らかにする本課題の進展に有用な示唆が得られた。
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