研究課題
前年度は、ラットに対して、食物の硬さや温度を条件刺激、その直後の内臓不快感を無条件刺激として提示すると、味溶液を条件刺激として提示した場合と同様に「食物嫌悪条件づけ」を獲得させることができることを、行動学的実験により明らかにした。本年度は、これらの条件づけ学習に脳内のいかなる部位が関与しているのかを調べる目的で、行動学的実験および免疫組織化学的実験を行った。行動学的実験においては、扁桃体を両側性に破壊したラットでは、温度を条件刺激とした条件づけそのものが不可能であることを明らかにした。免疫組織化学的実験では、FOS蛋白発現を指標として、脳内のいかなる部位の細胞に活性が見られるかを扁桃体を中心に観察した。具体的には、摂取溶液の温度を条件刺激として嫌悪を条件づけたラットに口腔カニューレを通じて、条件刺激温度の蒸留水を強制注入し、90分後のFOS活性を免疫組織化学的染色により調べた。その結果、これら条件づけラットの扁桃体基底外側核に見られたFOS陽性細胞は、条件づけを行っていないコントロールラットより優位に多いことを明らかにした。以上の結果から、摂取溶液温度嫌悪条件づけには、扁桃体が深く関与している可能性が示唆された。
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Physiology and Behavior 83・1
ページ: 93-98
岐阜歯科学会雑誌 30・特集号
ページ: 61-66
ページ: 172-182