研究概要 |
生理的機能解明に供する唾液高プロリン蛋白質P-Bの恒常的な産生の為、大腸菌によるP-Bの発現を試みた。P-B cDNAの成熟蛋白質領域をコールドショックベクターI(His・Tag領域を含む)のNdeI/PstIサイトに組み込み、P・B発現ベクター(SYN757)を作製した。コールドショックベクターは、低温で発現誘導することにより、宿主大腸菌由来の蛋白質の合成が抑制され、目的とする蛋白質のみを高効率で得ることができるとされている。宿主大腸菌としてBL21を用い、IPTGにより誘導をかけた。集菌後の菌体を超音波で破砕しその可溶性画分,不溶性画分をそれぞれSDS-PAGE後ウエスタンブロット法により膜転写し抗His-Tag抗体で検出を試みた。両画分とも分子量約10,000の位置に抗His-Tag抗体陽性バンドが認められ、このバンドがP-Bであると考えられる。現在のところ、37℃で培養し、O.D._<600>=0.4になった時点で15℃に15分間静置後、1mMとなるようIPTGを添加し、さらに24時間15℃で培養した場合の収量が良いよううに思われるが、発現量は極めて少ない。収量の改善を目指して、P-B遺伝子のpColdTFベクターへの組み換えや、種々の宿主大腸菌(BL21、Rosetta、JM107、XL1 Blue、M15、JM83、K12)についての検討を行ったが、良好な結果は得られなかった。
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