研究課題/領域番号 |
15591993
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50107778)
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研究分担者 |
大城 和文 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50332648)
依田 浩子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60293213)
程 くん 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40207460)
朔 敬 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40145264)
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キーワード | 正常口腔粘膜上皮 / 口腔粘膜疾患 / 免疫組織化学 / in-situハイブリダイゼーション / パールカン / ヘパラン硫酸鎖 / RT-PCR / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
1.正常口腔粘膜上皮細胞および上皮性疾患での病理組織学的検討 1)病例選択:口腔粘膜の上皮性疾患の外科摘出材料について、上皮の形態に着目しながら病理組織学的に検討し、過形成上皮から異型上皮、上皮内癌および浸潤癌まで適切な病例を選択した。 2)パールカン組織化学的検索:上記症例について細胞外基質分子パールカン(HSPG)コア蛋白質およびヘパラン硫酸(HS)鎖の局在と遺伝子発現を、免疫およびハイブリッド組織化学で検索したことろ、上皮異型性が高度になるにつれて上皮細胞のHSPG mRNA信号が増強し、細胞間にHSPGが蓄積し、HSは反応に消失した。しかし浸潤癌では癌細胞間隙の沈着はなくなり、線維性間質にHSPG沈着が強調された。したがって、上皮細胞増殖にはHSPGが必要とされ、浸潤性を獲得するまでは上皮細胞自身がそれを自給し、浸潤後は間質細胞に依存することが判明した。 3)免疫担当細胞免疫組織化学:異型上皮から上皮内癌で増強する上皮層内へのリンパ球、マクロファージ等の浸潤様式を免疫組織化学的に検討した。特徴的二層性異型上皮の層界面には空胞化細胞が出現するが、これらがTUNEL陽性アポトーシス小体をいれているか、それら自身がアポトーシス細胞であり、その周囲にはCD8+あるいはCD57+リンパ球とS-100蛋白質陽性マクロファージが配置しており、二層性はアポトーシスによって生じることが示唆された。 2.パールカントランスジェニックマウスをもちいた遺伝子過剰発現系での解析 上記のように異型上皮細胞でHSPGの発現が増強することが判明したので、上皮細胞に特異的に発現するケラチン5遺伝子プロモーターにマウスパールカンcDNAを連結し導入遺伝子を調整後、マイクロインジェクション法にてマウス受精卵に注入し、トランスジェニック(TG)マウスを作製した。現在、F1世代マウスの作製まで成功している。これらのマウスの口腔粘膜上皮を組織学的に検討したところ、上皮細胞の肥大、上皮基底細胞配列異常、上皮基底膜の肥厚等の所見がえられ、同時に歯胚形成にも異常がみられた。したがって、HSPGは上皮細胞の増殖性を規定する重要な細胞外基質であることが示唆された。
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