研究課題
基盤研究(C)
本研究は、Porphyromonas gingivalisのII型線毛クローンの歯周病および抗てんかん薬誘発性歯肉肥大との関連を明らかにし、さらに同クローン線毛タンパクをターゲットとした機能性免疫グロブリン融合タンパクの歯周ポケット貼剤モデルを構築し、その有用性を解析することを目的とした。その結果、抗てんかん薬誘発性歯肉肥大患者75名、450部位の歯肉縁下プラーク細菌叢のPCR解析を行った結果、歯肉肥大の発症と同クローンの存在との間に顕著な相関関係が認められた。更に、歯肉肥大部位に歯周治療を施し、real-time PCR法により同クローンの量的変化を測定した結果、臨床的な改善が認められた箇所においては同クローンの有意な減少が認められたが、臨床症状の改善が認められなかった部位においての量的変化は見られなかった。同様の知見が成人性歯周炎患者においても得られ、P.gingivalisのII型線毛遺伝子クローンは歯周病および抗てんかん薬誘発性歯肉肥大の原因因子であることが強く示唆された。P.gingivalisのII型線毛がヒトフィブロネクチンと特異的に結合することが示されたため、フィブロネクチンの線毛との結合領域の同定を行った。フィブロネクチン全タンパクをカバーする10分割フラグメントをリコンビナントタンパクとして作製した。ドットブロットアッセイおよびBIACOREを用い、精製リコンビナントタンパクとII型線毛リコンビナントタンパクとの結合親和性を評価したところ、フィブロネクチンタンパクのII型線毛との結合モチーフである特定領域を同定した。これらの結果をもとに、P.gingivalisのII型線毛タンパクと特異的に結合するフィビロネクチン領域とIgG/Fc領域とを融合させたキメラIgGタンパク質の大量発現系の構築をおこなった。cDNAライブラリを用いて、IgG1/Fcフラグメントをコードする遺伝子断片と、II型線毛結合領域をコードするフィブロネクチン遺伝子断片を連結させたベクターを作製し、CHO細胞に導入することによりフィブロネクチン-Fc融合タンパクを得た。現在、同融合タンパクの機能評価を行っているが、顕著な有用性の確認には至っていない。
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