研究概要 |
1.培養環境下での口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞のサイクリンD1蛋白発現の変化 OSCC細胞株MOK101、MOK201、SCC9、SCC25のいずれにもサイクリンD1遺伝子の増幅は認めなかったが、monolayer cultureでのサイクリンD1蛋白発現をWestern blot法で検討したところ、SCC9が最も高く、次いでM0K101、MOK201が同程度で、SCC25は最も低かった。 さらにSCC9で、monolayer cultureでconfluent、semiconfluentの状態、浮遊培養(multicellular aggregates, MCA)の3条件でサイクリンD1蛋白発現を検討したところ、明らかな差異は認めなかった。 次にSCC9をI型コラーゲン、ファイブネクチン、ラミニン5上で培養したところ、細胞増殖は亢進し、同時にサイクリンD1発現の軽度の上昇を認めた。 2.サイクリンD1発現とGSK-3β、Ak、Erk発現の関連 上記のOSCC細胞株におけるサイクリンD1発現と活性型GSK-3β発現の関連をみたところ、両者は逆相関していた。OSCC細胞において細胞内のサイクリンD1蛋白の分解がGSK-3βの活性化により行われることが示唆される。 次にI型コラーゲン上のmonolayer cultureとMCAでサイクリンD1、GSK-3β、Akt、Erkの発現・局在を蛍光染色で調べたところ、いずれの蛋白も細胞質にびまん性に分布し、明らかな差異は認めがたかった。しかしGSK-3βはMCAの細胞質辺縁に軽度の偏在する傾向を示し、細胞間接着分子であるβカテニンとの関連を反映しているものと考えられた。さらに他の細胞外マトリックス上で発現を追試している。
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