研究概要 |
臨床で用いるレギュラーとスーパーファインダイヤモンドポイントを用いて形成した象牙質研削面およびエナメル質研削面に対する各種レジン系接着システムの短期的接着性能を調べるために、接着後24時間の微小引張り接着強さを比較検討し、その破断面の破壊形態をSEM観察するとともに、各システムのスミア層除去能力を調べるため、各システムで処理した研削面をアセトン洗浄したものをSEM観察した。その結果、1)エナメル質接着強さは、研削面による差は認められなかった、2)象牙質接着強さは、1ステップ型の接着システムにおいてスーパーファイン研削面の方が有意に高い値を示した、3)エナメル質においては、歯面処理材のスミア層除去能と接着強さが必ずしも対応していない材料があった、4)象牙質に対して低い接着強さを示した材料では、アセトン洗浄した象牙質表面にスミア層の残存が多く認められたが、高い接着強さを示した材料ではほとんどスミア層が除去されている傾向が認められた。以上より、特に1ステップ型接着システムでは、象牙質接着に対して有利な研削面を形成するためのバー選択が必要であると考えられた。 また、長期的接着性能に関する研究の一つとして、異なる機能性モノマー(4-MET, MDP, phenyl-P)を含有する3種の2ステップ型セルフエッチングシステムを用いて接着処理した試料を5℃と55℃のサーマルサイクルを50,000回まで行い、象牙質微小引張り接着強さを測定した。その結果、phenyl-Pを含有するシステムでは50,000回のサーマルサイクル後、有意に接着強さは減少した。このことから、セルフエッチングシステムの象牙質接着性は、含まれる機能性モノマーによって異なり、長期安定性を左右する可能性があることが示唆された。
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