研究概要 |
可視光線に反応する光触媒である二酸化チタンと低濃度過酸化水素水(6%)を用いエナメル質および象牙質にそれぞれ歯牙漂白処置を施した。その後、即時あるいは1日後に直径0.79mm高さ約1mmの円柱形に接着性レジン(クリアフィルメガボンドとクリアフィルAP-X,シェードA3)を接着させ30日後に、EZ testを用いて微小剪断接着力試験を行った。漂白処置を施さなかったものをコントロールとした。また、同様の漂白処置を施し、即時あるいは1日後に直径3.18mm高さ約3mmの円柱形に接着性レジンを接着させた。その試料を0.1%塩基性フクシン中に浸漬しレジン辺縁部の間隙に色素を浸入させる色素漏洩試験を行った。漂白処置を施さなかったものをコントロールとした。 1.漂泊処置後エナメル質面において無処置のコントロールが48.38±13.93MPa、漂白処置1日後充填群で54.72±15.21MPa、即時充填群で37.55±12.92MPaであり、漂白処置後1日で接着力が回復した。 2.漂白処置後象牙質面において無処置のコントロールが44.16±13.13MPa、漂白処置1日後充填群で44.16±9.55MPa、即時充填群で35.71±12.21MPaであり、処置後1日で接着力が回復した。 3.漂白処置後歯面の色素漏洩試験において、色素漏洩がおこる出現頻度は、即時充填群、漂白処置1日後充填群、コントロールの順に高かったが、その傾向は象牙質面よりエナメル質面で強かった。 4.漂白処置1日後充填では十分に色素漏洩を減少できない傾向にあった。 5.接着力試験と漏洩試験の結果が異なるのは、接着力は被着面全体からの結果であるのに対し、漏洩は被着面辺縁部からの結果であるためと考えられる。 6.臨床的な問題は修復物辺縁部によるところが大きいので漏洩試験の結果は臨床的に重要な検討課題となる。
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