研究概要 |
医療施設において院内感染対策は重要な問題である。本研究では病原微生物の消毒や滅菌に関しての研究を行い、次の結果を得た。 1.日本感染症学会は2000年に、インフェクションコントロールドクター(ICD)制度を設立させた。それに伴い、東北大学歯学部附属病院では2004年にインフェクションコントロールチームを発足した。メンバーは学会認定のICDを中心に、歯科医師、看護士、薬剤師、事務職員からなり、一ヶ月に2回、院内を巡回し、感染対策に関する指導を主な業務としている。巡回によって、多くの対策が改善され、現在では、感染対策の実践のために、事務部の協力など、病院全体として取り組んでいる。 2.シリコン印象をオートクレーブ滅菌、あるいはグルタラールアルデヒド消毒し、石膏模型に及ぼす影響を調べた。グルタラールアルデヒドはインレーの製作上問題はなかった。一方、オートクレーブ滅菌は、診断用模型や単純なインレーの製作には使用可能であった。 3.殺菌作用を有する機能水は、経時的に塩素ガスの揮発に伴って、機能水中の有効塩素濃度が低下し、殺菌作用が減弱する。そこで、塩素濃度が低下しない機能水を生成するために無隔膜電解装置を試作した。この装置による機能水はpH9.0であり、高濃度の塩素を維持することから、長期保存が可能となり、臨床に有用であると考えられる。 4.歯科用ユニットから得られる水に、多くの微生物が存在すると患者および医療従事者に感染の危険性が存在する。東北大学歯学部附属病院の歯科用ハンドピースおよびスリーウエイシリンジから得られる水中には1,000〜1,000,000CFU/mLもの微生物が培養された。今後、歯科医師は清潔な水を用いて診療が出来るように、微生物汚染対策を講じる必要があった。
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