研究課題
平成15年度はまず初めに永久歯の変色象牙質を色彩色差計により変色の度合いを計測した。続いて象牙質粉末を10%EPTA水溶液にて4度で撹拌しながら14日間脱灰した。その後、7日間透析しEDTA水溶液を除去した。最後に、3000rpm〜10分間遠心分離後、上清を採取、この試料をゼーマン原子吸光度計によって無機質の定性、定量を行った。その結果、変色象牙質は正常象牙質を比較すると亜鉛の含有量が増加していることを確認した。しかしながら亜鉛は歯科材料にも多く含まれており歯質内本来のものであるかは不明である。特に、失活している歯に根管充填材として酸化亜鉛を広く使用するためこの影響もあると考えられる。また、鉄、マグネシウム量は逆に減少していることが確認された。一方、変色象牙質中の有機成分の検討を電気泳動法にて検討したがトランスフェリンやヘモグロビンの明らかな存在はバンドでは確認できなかった。この結果、有機質中の変色原因因子は他のアミノ酸である可能性が強く示唆された。しかし、他のアミノ酸を抽出するのは多くの時間が必要であり電気泳動法にも限界があると考えられた。この結果かも次年度は永久歯のみならず乳歯の変色原因もやはり無機質に対して検討し、そのとき可能な限り抜去歯他乳歯の履歴がはっきりとしたものを試料として用いる予定である。