研究課題/領域番号 |
15592035
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
秋本 尚武 鶴見大学, 歯学部, 講師 (40184113)
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研究分担者 |
英 將生 鶴見大学, 歯学部, 助手 (80329226)
飯田 麻理子 鶴見大学, 歯学部, 助手 (00386913)
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キーワード | 象牙質接着界面 / 超微小硬さ測定 / 硬さ分布 / ナノ領域 / セルフエッチングシステム / 接着メカニズム |
研究概要 |
レジン接着システムの象牙質における接着メカニズムを解明することを目的として、象牙質接着界面のナノ領域の超微小硬さ測定を「超微小硬さ測定機用精密ステージ」と現有設備である超微小硬さ測定機ENT-1100aとを組み合わせて行った。また各種セルフエッチングシステムの接着強さをマイクロテンサイル法にて評価し、さらにレジン-象牙質接着界面の超微細構造について、アルゴンイオンエッチング法を応用したFE-SEM観察を行い詳細に検討した。 レジン接着システムとして、2ステップ、1ステップセルフエッチングシステムそしてワンボトルセルフアドヒーシブの現在市販されている入手可能な製品すべてに関して評価した。接着強さは、2ステップシステムの製品が最も高い値を示したが、ワンボトルセルフアドヒーシブにも2ステップに匹敵する接着強さを示すものが存在した。またセルフエッチングシステムの接着メカニズムに影響を及ぼすと考えられるボンド層の物性に注目し、ボンド層の硬さ分布について測定を行い検討した。セルフエッチングシステムのボンド層の硬さは、システム間による差はあまり認められず、水やアルコールあるいはアセトンなどを溶剤として含むワンボトルセルフアドヒーシブにおいても2ステップシステムのボンドと有意差は認められなかった。接着強さと硬さの関係については今後さらに検討が必要である。レジン-象牙質接着界面のFE-SEM観察からは、特にワンボトルセルフアドヒーシブの象牙質接着界面において、従来観察された樹脂含浸層と比較し非常に幅の狭い300-500nm程度の樹脂含浸層が観察され、これまでの接着メカニズムとして考えられていた樹脂含浸層によるいわゆる機械的嵌合による接着のほかにさらに高い接着強さを発現するメカニズムについて再検討する必要がある。本研究より、象牙質接着のメカニズムの解明までには至らなかったが、ナノ領域におけるレジンと象牙質の接着について一部成果が得られた。
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