研究概要 |
前年度の続きで,Beagle犬(1.5歳・♂)の右側前臼歯4本に対して冠部歯髄を除去し,根管口で歯髄を切断して露髄面にBAGペーストを置いてグラスアイオノマーセメントで仮封した.対照として左側小臼歯には水酸化カルシウムペーストで覆髄した.現在ギ酸脱灰中である. Beagle犬(1.5歳・♂)の右側前臼歯3本に対して抜髄・根充後,髄床底をダイアモンドポイントで穿通しBAG(小)粒子で填塞した.左側前臼歯2本に対して従来型BAG粒子を,1本にテンポラリーストッピングを填入した.グラスアイオノマーセメントで仮封して4ヶ月後に屠殺して2%paraformaldehyde2.5%glutaraldehydeで浸漬固定(7日間)を行った.ギ酸で脱灰しパラフィン包埋後切片を作製し,HE染色を施した. 粒子径が従来型より小さなBAGを填塞したほうが組織液と接触する総面積が大きくなるため,よりBAGの効力が発揮されると予想していたが,粒子径を小さくした方がマクロファージ系細胞の異物反応を著しく惹起してしまい硬組織の形成が阻害されてしまうことが明らかになった.従来型のBAG粒子は形成された肉芽組織に対し強力な骨伝導能を発揮して骨芽細胞を活性化し骨組織が大量に形成された.しかし一部には異物反応が生じて,骨形成が阻害されている箇所や粒子間に肉芽組織が残存している箇所があり,髄床底の封鎖が不完全になる危険性が予想された.封鎖性の向上のためにBAG粒子単体ではなく,他の基材と混合した方がより良好な結果がえられるものと考える.どの基材と混合した方がよいかは現在検討中である.
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