研究概要 |
【目的】 本研究の目的は,(1)下顎無歯顎堤について、3次元デジタイザによる形状データから、可能な限り自動的に有限要素モデルを作成する方法を開発し、(2)多数の顎堤について、有限要素法により咬合力負荷時の義歯の挙動を解析し,義歯の挙動の特徴から、顎堤形態の分類を試みることである。本年度は,(1)までを行った。 【方法】 上下顎全部床義歯新製予定の症例について,下顎の作業模型,および試適済みの蝋義歯を装着した同模型を,非接触3次元デジタイザLPX-250(ローランドDG(株)製)により形状測定した。データはDXFファイルとして出力し,パーソナルコンピュータ上にて,以下の手順で義歯の外形を認識させ,有限要素モデルを作製した。なお,プログラムは,C++言語にて自作した。 1)顎堤形状の認識:顎堤全体を近遠心的に適切な数に分割し,各々の2次元的な断面形態について,歯肉頬移行部,および口腔底を,曲率が最大となる部位として認識した。なお,認識が困難な部位は,模型面の最下点や隣接する断面での認識結果等も参考とした。 2)義歯外形の認識:模型と義歯外形を含む3次元形状データより,水平的に顎堤の範囲と一致する部分を切り出し,義歯外形とした。 3)歯槽骨面形状の構築:顎堤粘膜の厚径を一定として,粘膜面の形状を基に構築した。 4)1)〜3)の形状データより,有限要素モデルを構築した。 【結果】 3次元形状測定結果を基にした有限要素モデルの構築を,ほぼ自動化することができた。今後,形状測定方法やモデル構築方法の細部について,精度や効率の面から検討を加えた後,多数の解析データを蓄積し,顎堤形態の分類を試みる予定である。
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