高齢化社会を担うインクリメンタルフォーミングによる非鋳造チタン床作製法の開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15592046
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 本村 一朗 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60272598)
• 研究分担者: 田中 繁一 静岡大学, 工学部, 助教授 (60197423) ; 中村 保 静岡大学, 工学部, 教授 (70023322) ; 中村 英雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60172425)
• キーワード: CAD / CAM / チタン / 高齢化社会 / インクリメンタル成形 / 義歯床

研究概要

本研究ではインクリメンタルフォーミング(逐次的な塑性加工プロセス)技術を用いチタン床の製作最適条件を検討することを目的としている。インクリメンタルフォーミングにより作成された金属床はコーンビュータ上でデザイン、制御されるため機能性を考慮した設計が可能であり、かつ口腔内を印記した模型をそのまま用いてチタン床を製作できるため義歯製作時間の大幅短縮の可能性、技工士など制作者サイドへの負担が軽減でき品質の安定供給が望める。従来のような複模型製作、ワックス形成等を行わないため、資源保護および環境破壊を押さえるのに貢献することも考えられる。インクリメンタルフォーミング技術を用いた場合、スプリング・バックがきわめて少なく寸法精度の向上、チタン鋳造による問題点である鋳造欠陥、反応層の形成や研磨の困難性等が克服される事も予想されチタン本来の特性を損なうことはない。
本研究初年度の平成15年度ではそのチタン床作製方法、作製条件について検討・研究を行ってきた。チタン床作製方法としては逐次前方張り出し成形法を用い、固定したチタン板を4軸成形機による成形を行った。なおCADデータ等は事前にレーザー計測器にて取り込んだ無歯顎標準模型を用い、コンピュータ上にて成形位置等を決定した。成形された金属床をもう一度レーザー計測器を用いてコンピュータ上に取り込み元データと照合した結果を用い検討を行った。
それにより寸法精度の改善、および作製装置仕様変更の必要が生じたため現在更なる検討を重ねている。しかしながらこの手法を応用する事により経年変化による金属床義歯の改床を金属床部分を経年変化に合わせた修正が可能となる事が期待できる。

研究成果

• [文献書誌] 中村英雄, 本村一朗, 中村 保, 田中繁一, 早川邦夫, 山田信二, 笠間優一: "インクリメンタル成形技術を用いた歯科補綴物作製法の開発(Part.1 チタン床の成形)"チタンと歯科臨床. 1・1. 48 (2003)
• [文献書誌] 田中繁一, 中村 保, 早川邦夫, 中村英雄, 本村一朗, 山田信二, 笠間優一: "純チタン製義歯床のインクリメンタルウォーミング(逐次成形床の形状精度)"平成15年度塑性加工春季講演会講演論文集. 305-306 (2003)
• [文献書誌] 本村一朗, 中村英雄, 中村 保, 中村 保, 田中繁一: "インクリメンタル成形技術を用いた歯科補綴物作製法の開発-成形精度に及ぼす影響-"補綴話. 47・S110. 190 (2003)
• [文献書誌] 田中繁一, 中村 保, 早川邦夫, 中村英雄, 本村一朗, 山田信二, 松家賢吾: "純チタン製義歯床のインクリメンタルフォーミング(陽極酸化によるトライボ特性改善)"第54回塑性加工連合講演会講演論文集. 379-380 (2003)