研究分担者 |
高橋 英和 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90175430)
中島 正俊 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50272604)
吉田 恵一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (60240280)
吉岡 隆知 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60323698)
|
研究概要 |
近年,審美的要求や金属コアによる歯根破折の問題により,ファイバーポストとコンポジットレジンを併用したメタルフリー支台築造への期待が高まっている. 本研究の目的は,メタルフリー支台築造システムを確立することである.今年度は研究最終年度であり,前年度に引き続きメタルフリーの支台築造システムを確立するため,使用材料,手法について研究を進め,その成果をまとめた. システムに用いる試作ファイバーポストの曲げ特性は,ファイバー含有率40%のものでは象牙質にほぼ近似した弾性係数を有することがわかった.熱水浸漬による加速度劣化試験での経時的変化は,市販ポストが早期に曲げ強さ,曲げ弾性係数が低下したのに対し,試作ポストでは曲げ弾性係数の低下が少なく,システムの長期安定性に寄与すると考えられた.また最近では主流となってきたデュアルキュア型の市販支台築造用コンポジットレジンは象牙質と比較して曲げ強さは小さかったが,曲げ弾性係数は象牙質に近似した値となっていた.これらのデュアルキュア型コンポジットレジンとファイバーポストとの接着では,ボンディング剤にシランカップリング剤を併用すると石英ガラスを用いたファイバーポストでは接着力の向上が認められたこと,またボンディング剤に光照射を行うことにより接着力向上に効果があることが確認された.これらにより,支台築造に両者を併用すれば,長期使用に十分耐えられる構築物が得られることが示唆された. さらに,デュアルキュアタイプのコンポジットレジンとファイバーポストとの接着においてボンディング剤が接着強さに及ぼす影響,およびファイバーポストの根管内でのコロナルリーケージについて検討した.その結果,根管内でのコロナルリーケージは,今回新しい評価法を開発できたのでそれを用いて評価を行い,歯質接着性レジンを用いるとコロナルリーケージが少ないことが確認された. 現在,これらの成果を踏まえ,メタルフリー支台築造システムの最適な技法,材料についての報告書を作成中である.
|