研究概要 |
本研究では,生体吸収性ポリマーに生体分解性を有するガラス繊維を複合することにより、機械的性質に優れる生体吸収性FRP(繊維強化プラスチック)の創製を目的としている。本年度は強化材としての生体分解性を有するガラス繊維の試作を目標に、バイオガラス系の組成としてNa_2O-CaO-TiO_2-SiO_2(NCTS)系ガラスの浸漬の影響について検討した。 NCTSガラス繊維を純水に浸漬すると引張り強さは,浸漬1日で急激に低下し,浸漬前の約49%となった.その時,浸漬溶液のpHは0.5時間でアルカリ側に急激に変化し,その後は,約pH10で一定となった,ガラス成分の溶出を測定した結果,浸漬時間が長くなるに従い,溶出率は増大し,30日後の溶出率は,Na_2Oが9.Omass%,CaOが0.0mass%,TiO_2が0.0mass%,SiO_2が6.5mass%であった. 一方,NCTSガラス繊維を擬似体液に浸漬すると引張り強さは,10日浸漬で浸漬前の約110.0%となった。 純粋と擬似体液浸漬後のガラス表面の性状をSEMで観察すると,純水浸漬では,表面には多くの凹凸と共に繊維同士が張付き,剥離が起こっていることが確認できた.また,擬似体液浸漬では,表面にアパタイト結晶が析出されていることが確認できた. 以上の結果よりNCTSガラスはNa_2O-K_2O-CaO-TiO_2-SiO_2(NKCTS)系ガラスより溶解性が大であることが確認できた.
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