研究課題/領域番号 |
15592055
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田中 康弘 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10217086)
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研究分担者 |
白石 孝信 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10150468)
桑野 範之 九州大学, 産学連携センター, 教授 (50038022)
久恒 邦博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20037526)
三浦 永理 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70315258)
澤瀬 隆 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80253681)
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キーワード | メタルボンドポーセレン / 焼付界面構造 / 透過型電子顕微鏡観察 / チタン酸化物 / 金チタン化合物 / 結晶構造 |
研究概要 |
チタンを用いたメタルボンドポーセレンにおいて十分な焼付強度が得られないという問題がある。我々の透過型電子顕微鏡(TEM)観察より、焼付界面のチタン側にチタン欠乏層が発生することが問題となっていると示唆されている。陶材焼成前に、あらかじめ金をスパッタコーティングすると陶材の密着性が向上することが最近見出されたので、そのメカニズムについて検討した。 金蒸着後デギャッシング処理を行うと、金蒸着層は厚さ1ミクロン弱の金チタン金属間化合物から成るレイヤーとなった。それよりチタン側にはTi_3Au相のレイヤーが生じ、さらにチタン側にはTi_3A1相のレイヤーが生じていた。純チタンに金をスパッタコートした試料でアルミが現れた理由として、埋没材中アルミナの還元が考えられる。また金蒸着層より表面側には酸化物層が生じていた。純チタンをデギャッシングした時の表面酸化物層は柱状晶に結晶成長したルチルだったが、金をスパッタコートした試料では、酸化物結晶のサイズは細かく、チタン酸化物や金チタン化合物が混在し、複雑な組織となっていた。陶材焼成後、金蒸着層よりチタン側にはTi_3Au相およびTi_3A1相のレイヤーがそのまま残っていた。陶材と金蒸着層間の酸化物層にはTi_2OやTiO等の低カチオン価数酸化物の生成が認められた。低カチオン価数チタン酸化物の生成は、金蒸着なしの通常の焼付条件の場合も見られた現象である。 金蒸着による最も大きな界面構造変化は、チタン側欠乏層の消失だった。金蒸着なしの場合、チタンは焼付界面の反応相を通り抜け陶材中に拡散していくため欠乏層が生じたと考えられる。一方、金はチタンと強い親和力を持つため、酸素のチタン中への拡散、チタンの陶材中への拡散を妨げる効果を持つと考えられる。
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