研究概要 |
オッセオインテグレーテッドインプラントを利用した顎顔面補綴は、その有用性が数多く報告されている。しかし、放射線照射後の骨組織に対するインプラント埋入を行う場合、骨/チタン界面に対する放射線照射の影響を検討する必要がある。今回、インプラント治療が困難とされる放射線治療を受けた骨組織を想定し放射線照射された骨組織に水熱処理アパタイトコーティングチタンインプラントを埋入,その後push out試験を行い顎顔面補綴領域のインプラントの適応症が水熱処理アパタイトコーティング処理により拡大可能かどうかを検討した。 平成16年度は、in vivoの実験として放射線照射量0.04,0.4,4,40Gyをウサギ大腿骨に照射した。24時間後に試料を片側大腿骨に3本ずつ埋入し、2週後と3週後に屠殺した。大腿骨を摘出後,精密万能試験機を使用し,クロスヘッドスピード0.5mm/minでpush-out試験を行った。その結果、in vivoにおいて40Gyの放射線照射が埋入3週目で骨/チタン界面に対して影響を及ぼすことが示唆された。また、チタンへの処理は4Gy以下の照射量で効果を発揮した。in vitroの実験としてラットより骨髄間質細胞を採取、細胞を5日間培養後、フラスコごと放射線を照射しさらに2日間培養した。その後,継代培養し細胞を材料上に播種、材料上の初期石灰化を観察した。4Gyの照射では細胞の増殖は観察されるものの明確な石灰化はおきないことが分かった。また、水熱処理アパタイトコーティング処理により400mGy以下の照射試料で石灰化が進んでいた。しかし、4Gyの照射試料でチタン表面処理は効果を示さなかった。
|