研究概要 |
慢性関節リウマチ患者由来の関節滑膜細胞株に、変形性顎関節症患者の滑液中で上昇していることが報告されている炎症性サイトカインInterleukin(IL)-1βを1.0U/mlの濃度で作用させ、ELISA法により各種サイトカインの測定をおこなったところ、3、6、9、および24時間後のIL-8およびMonocyte Chemoattractant Protein(MCP)-1産生が経時的に上昇した。このサイトカイン産生に低出力レーザー照射が、どのように影響するかについて検討を行った。低出力レーザー照射装置には、Ga-Al-As半導体レーザー照射装置を用いた。レーザーは総照射エネルギー密度3J/cm^2となるよう10分間パルス照射した。関節滑膜細胞に、IL-1βを1.0U/mlの濃度で作用させ、上記条件で低出力レーザーを照射し、経時的にIL-8およびMCP-1産生量をELISA法により測定したところ、3時間後のIL-8およびMCP-1産生量はレーザー未照射群に比較して有意に減少していた。低出力レーザーを照射することにより、これらサイトカインの産生が抑制されることは、炎症の抑制につながることが示唆された。 また、動物実験としてラットに全身麻酔下で、II型コラーゲンを抗原として、動物1匹あたり1mlとなるよう0.1mlを約20箇所に分けて背部に皮内注射し、関節リウマチの疾患モデルとした。動物は1群3匹として3群にわけ、第1群は初回感作と同時にレーザー照射を行い、第2群は最終感作から2週間毎日レーザー照射を行い、第3群は対照群とした。照射期間は3週間とし、実験期間中は、動物の一般状態を毎日観察し、週1回体重測定および膝関節部分の腫脹をノギスで測定した。その結果、レーザーを照射した第1,2群では、対照群と比較して腫脹が軽減しており、レーザー照射に腫脹の予防および抑制効果があることが示唆された。
|