研究概要 |
本研究はチタン合金に3種類のコーティングを施し,インプラントと骨境界面部での骨誘導,骨形成の方向性や配置を観察し,偏光顕微鏡さらに反射電子像の有用性について検討を行い興味ある知見を得た. 反射電子像による観察結果はG1,G2およびG3の周囲に形成された新生骨の3種(A,B,C)の異なる形成パターンが観察された.Aは既存骨から伸展する新生骨.Bはインプラント周囲に形成される新生骨.Cは骨髄腔側から形成される海面骨様の新生骨とした.インプラント周囲の新生骨は既存骨と比べ,骨小腔の配置や密度差,また濃淡差の違いを手がかりに分別した.A,BおよびCは性質の異なる骨が組み合わさり形成されている.特に骨髄腔側から形成される新生骨形成(C)については,あまり報告されていない.また,インプラント周囲の新生骨(B)と皮質骨から伸展する新生骨(A,A',A")では明らかに異なった.さらに,反射電子像における硬組織観察は,従来の光学顕微鏡で硬組織と線維組織の判断しにくい部位を明確に観察が可能であった.さらに新生骨に見られた骨小腔の配置や密度差,既存骨と新生骨の濃淡差が明らかとなり,石灰化の熟成度が観察できた. また,偏光顕微鏡においては試料の複屈折を観察することで骨のコラーゲン線維の方向性や配置を知ることができた.インプラント側面では長軸に直交する骨梁がみられ,インプラント尖端では放射状に広がり,荷重方向に平行する骨梁配列がみられるといわれており,今回の偏光顕微鏡観察により同様な見解を示す新生骨が確認できた。 今年度は病理学的な検討を行い,生体組織との親和性を観察することが確認できた.現在は骨固着強度の実験中でありチタン合金の生体適合性について更なる評価を行う予定である.
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