研究概要 |
本研究の目的は医用インプラント材料としてTi-15-Zr-4Nb-4Ta合金の開発である。 臨床において広く用いられているTi-6Al-4V合金を対照として,生体用チタン合金として期待されるTi-15Zr-4Nb-4Ta合金について,表面処理の違いと骨インプラント間の骨結合強度との関係を明らかにすることを目的に,両合金をウサギ大腿骨に埋入し,4,8,16,24および48週における引き抜き試験後,インプラント周囲の新生骨についてマイクロCTによる骨梁観察を行い,以下の結果を得た。 引き抜き曲線は,同一表面処理を行ったTi-6Al-4V合金およびTi-15Zr-4Nb-4Ta合金インプラント間で同様な曲線が記録された。骨結合強度は,4,8,16,24および48週において表面処理が同一の場合,Ti-6A1-4V合金とTi-15Zr-4Nb-4Ta合金の間に有意の差を認めず,4週から24週にかけて直線的に増加し,24週以降わずかな減少傾向を示した。また,ブラスト処理された両合金インプラントの骨結合強度は,機械加工処理に比べ,有意に高い値を示したことからブラスト処理が骨結合強度に関して有利に働くことが考えられた。 骨梁構造は,同一表面処理を行ったTi-6A1-4V合金およびTi-15Zr-4Nb-4Ta合金インプラント間で同様の像が観察された。また,ブラスト処理された両合金インプラントは,機械加工処理に比べ,新生骨の形成量が多く,より緻密な骨梁構造が観察され,各インプラントにおける骨結合強度の測定結果の裏付けとなることが示唆された。 したがって、その素晴らしい機械的性質、耐蝕性、腐食疲労、および生物学的適合性がある新しいTi-15Zr-4Nb-4Ta合金が将来医療のアプリケーションのための新しい合金として臨床応用の可能性を示唆することができた。
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