研究概要 |
低収縮性を目的とする、新規に開発した4官能ウレタン系メタクリリレートモノマーをベースとして新規希釈剤モノマーを用い、フィラー含有率向上のため、これら新規混合モノマーの低粘性化に有効な変性ビスフェノールAジアクリレート系混合モノマーを加え、フィラー含有率とこれらモノマーの粘性との関連について実験した。ベースモノマーに対してモルホリンアクリレートとジシクロペンタニルジアクリレートの混合物1:1の混合モノマーを用い、ベンゾイル型光重合開始剤(イルガキュア1700、チバ・ケミカルズ社)を用いた。 変性ビスフェノールAジアクリレート系混合モノマーは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートおよびプロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合モノマーとした。これら混合モノマーでの物性およびモノマー単独で重合したときの機械的性質を測定した。次に、フィラーを添加してコンポジットレジンを試作した。フィラーは、粒径約5μmの不定形溶融石英に、粒径50nmのマイクロフィラーを30%混合したフィラーをγ-MPTSでシラン処理しい、フィラー含有率を変えて数種のコンポジットレジンを作製した。試作したコンポジットレジンの重合収縮率、圧縮強さ、間接引張強さ等の機械的性質を調べ、従来のコンポジットレジンと比較した。 この結果、モノマーの粘性は、300〜600mPaと従来のbis-GMA-TEGDMA系の約10,000mPaと比べて極めて低い値を示すことが明らかとなった。また、モノマー単独での重合体の圧縮強度も、100MPa前後と大きく、これをコンポジット化した場合には、従来のコンポジットレジンと同等の機械的強度を示すことが明らかとなった。このときのコンポジット化されたペーストの稠度は、フィラーの充填率が高いにもかかわらず、従来のものに比べて極めて粘性が低かった。今回の混合モノマーの歯科用への応用は極めて有望であると考える。次年度は種々のコンポジットレジンを試作しその所性質について実験を行う予定である。
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