1 パラジウムの高騰による金銀パラジウム合金の代用合金開発と2 電子レンジと電磁波吸収体の応用による鋳造操作を必要としない金属製修復物の作製(30分以内で完成)を本研究の目的としている。 昨年度の一年目において、装飾用に市販されている銀粘土(銀粉末、紙粘土と水)は、電子レンジの4分加熱で焼成ができることがわかった。また、YAGレーザによる表層金合金化、金粉末の塗布、低溶ガラスの圧接により、純銀でも鋳造用金銀パラジウム合金の耐変色性試験(JIS)に適合するほど向上することがわかった。すなわち、鋳造操作を必要とせずに、金属製修復物を作成することができる。 今年度、平成16年度では、金属の粉末として歯科用金属の基本となる銀と銅の粉末を、また腐食しやすいため、あまり歯科では用いられない鉄(表層金合金化するのでこの鉄でも可能)の純金属粉末やアトマイズ法にて作製した粉末を電子レンジで焼成し、機械的性質を測定した。 実験の結果、1 銀、銅と鉄粉末を電子レンジで4分間焼成すると、圧縮強さは93、13と18MPaとなった。2 銀の粉末を0.7g、銅の粉末を0.15g、鉄の粉末0.15gとメチルエチルケトン0.20gをアマルガムミキサーで練和後、電子レンジで4分間焼成すると、圧縮強さは169MPaとなった。練成充填材のアマルガムに匹敵する強度まで向上した。3 銀、銅および鉄の各純金属粉末を混合させたものを電子レンジで焼成したものの圧縮強さは、アトマイズ法により作製した粉末を電子レンジで焼成したもののよりも大きかった。今年度の実験より、圧縮強さが大きくなる銀、銅と鉄粉末の適正な配合率は銀70%、銅15%と鉄15%であることが明確になった。 来年度は、焼成物の強度を増強させるために、粉末にパラジウムを加え同様の実験を行う。また、焼成収縮を抑える方法について検討する。
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