研究概要 |
現在まで,銀を吸着させたアパタイト系抗菌材を床用レジンに添加し,抗菌材含有率を変化させ,含有率が機械的性質と抗菌性に及ぼす影響について比較検討を行い,適切な含有率を規定してきた.今回は,銀を吸着させたアパタイト系抗菌材に変え,光触媒の抗菌材である酸化チタンを選択し,適切な含有率を規定することを目的とした. 現在までの報告によると,酸化チタンの含有量は銀を吸着させたアパタイト系抗菌材の含有量の10%未満で抗菌性が得られることが報告されている.このことから,床用レジンの機械的性質は酸化チタンを抗菌材として使用した場合,大きな低下は認められないと考えられる.また,酸化チタンは顔料にも使用されていること,銀を吸着させたアパタイト系抗菌材と比較し,光触媒であるため義歯を口腔内に装着している際は抗菌性を有さないことが考えられる. しかしながら,酸化チタンは銀を吸着させたアパタイト系抗菌材と異なり,レジン粉体に均一に分散しないこと,光触媒であるため光の照射条件といった問題点があった. 現段階では酸化チタンの粒子径により,うまく床用レジンの粉体と混ざり合わないことが確認された.よって,酸化チタンの粒子径を変化させ床用レジンの粉体と混合する予定である. また,もう一つの問題点としては,酸化チタンは光触媒であるため,光をあてることによりコントロールとして用いる酸化チタンを含有しない試料にも抗菌性が生ずることが考えられること,光の照射時間と酸化チタンの含有量の関係を規定しなければならないことが考えられる. 今後,このような酸化チタンの特性をふまえ,環境を規定しなければならないことが示唆された.
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