研究概要 |
口腔内から得られる患者の情報の中に,歯の色調に関するものは特に正確に再現する必要がある.従来から行われているシェードガイドによる方法ではなく,本研究では,画像から得られる情報を正確に採取する必要がある.このため平成15年度では,色調の正確な情報採取のため,撮影環境の構築に重点を置いた. 撮影環境の光源は,人工の照明,撮影装置の照明や自然光を応用する方法があるが,常に一定の環境で色情報の採取に適した人工照明の中でも,色温度特性に優れた発光ダイオードを応用し照明装置を作製した. 本照明装置は,電流量の調節で発光時の色温度を制御することが可能であり,操作の簡便性,耐久性の観点からも,口腔内の特殊な環境には適していることが明らかとなった.さらに本装置の他に,従来から使用されている各種の照明装置による上顎前歯部の撮影画像とも比較し,歯科技工士経験が十年以上,3年未満と卒後2年未満の歯科医師による色調の再現性について,アンケートによる方法で比較を行った.この結果,色調の再現性に最も優れた撮影時の照明は今回作製した照明装置であり,臨床応用の可能性が確認できた. 次年度はこの方法を応用し,治療室と技工室との連携を密接にした臨床応用を開始する.これによって作製された歯冠補綴物の色調,形態に関する患者や術者の満足度についてデータを収集し,その有効性を確認する.
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