研究概要 |
歯の色調を正確に伝達し,技工室での歯冠補綴物を患者の口腔内により近づけた状態で正確に再現できるようにすることを目的とした.このため,現在使用されているシェードガイドの応用を行うことなく,画像データを応用して客観的なデータの転送を可能とした.その方法は,通常使用されている撮影方法,撮影環境の不備なところを抽出した.特に撮影環境では,歯の背景の色調の選択について検討し黒色の背景が効果的であることを見いだした.また従来行われている撮影方法に使用されているリングストロボの色調再現性について検討し,リングストロボの発光時の色温度について検索し,その温度は太陽光の自然光の色温度である約5500Kを大きく越え6000K付近にあり,このままの撮影では色調の補正がPC上で必要であることを見いだした.しかしこの補正が可能なものはデジタル化されたデータのみがかのうであり,従来のリバーサルフィルムによるものでは不可能である.さらに同フィルムは長期間の保管が困難であり,安定したデータの長期的な保管についてもデジタル化される必要性について詳述した.撮影に際し,太陽光に近づけた光源を作製する必要があり,作製が容易で,長期間安定した光源となる,白色LEDを応用した照明装置を作製した.光の定常化には,定電流ダイオードと定電圧装置を応用して作製した.同光源を使用して撮影したシェードガイドを,技工室に転送し,そのデータについて,補綴専門医,歯科技工士の熟練者,3年未満の歯科技工士および臨床研修医に提示し他の光源を用いて撮影した画像とも比較させ他.4種類の光源下で得られた画像を比較させた結果,正確に再現された画像と識別したものは,人工太陽光下と自作の白色LEDを光源とする画像であった.本光源を応用して撮影された臨床例も提示しその臨床応用の可能性と有効性について確証を得た.
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