研究概要 |
わが国では保険適用の歯科修復用合金として銀合金(Ag-Pd-Cu-Au系合金)を主体に使用されている。しかし、本銀合金は保険適用外の金合金に比較して破折が起こり強度的な信頼性に欠けるといわれている。この主原因は着脱時や咀嚼時の応力状況において最適化されている金合金の熱処理条件に比較して、適用部位に応じた熱処理が本銀合金には確立されていない事による。 本研究では前年度の成果を踏まえ、TypeIV金合金、12%金パラジウム銀合金、試作チタン合金、ステンレスSUS304,常温レジン,コンポジットレジンおよび陶材との組合せによる摩耗特性をフレッティング摩耗とスライディング摩耗の本質を往復摩擦摩耗試験から往復振幅距離から検討した。その結果, (1)大気中,リンゲル溶液中での合金と常温重合レジンとの組合せでは,往復振幅距離が100μmから150μmの問に,一方、同種合金の組合せにおいては200μmにフリッティング摩耗からスライディング摩耗に変化する臨界振幅が存在する。 (2).金属と非金属の組合せにおいて,硬さの違いが大きい場合に摩擦力は小さくなる。 (3).臨界振幅は往復振幅距離の増大によって異なり,この臨界振幅は材料の組合せによって選択されるものでなければならない。 (4).フレッティング摩耗は積極的に微小な往復運動を受け持つ部分,すなわち接触面が中心部のみで面積が小さいときに起こり,摩擦力も小さくなる。しかしスライディング摩耗は大きな振幅距離の往復運動で接触部は全面となり,摩擦力も大きくなることが判明した。
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