研究概要 |
C-peptideは膵臓でのインスリン生成時にプロインスリンから分離される.そのため,既に蓄積されていたインスリンの影響を受けず,新たに生成されたインスリンの量を反映する. 本年度は,栄養摂取時のインスリン分泌様相の咀嚼運動の有無による違いを検討するため,ガム咀嚼後にブドウ糖液を摂取させた群と,ガム咀嚼を行わずにブドウ糖液を摂取させた群とでブドウ糖液摂取後の血中C.peptide値の変化を観察した. ・方法 被験者(女性19名,年齢平均20歳,BMI25以下)をガムベースを15分間咀嚼させた後,経口ブドウ糖負荷試験(0GTT)を行うガム咀嚼群と,ガム咀嚼を行わないコントロール群に分け,OGTT後15,30,60,120分に採血を行い,血糖値,血中インスリン値,血中C.peptide値を測定した. 他日,ガム咀嚼群とコントロール群を入れ替えて同様の測定を行った. ・結果と考察 血中C-peptide値は,ガム咀嚼群でOGTT30分後,コントロール群ではOGTT60分後に最高値に達した.また,ガム咀嚼群はOGTT後の血糖値の上昇がコントロール群に比べて緩やかで,血糖値の急激な上昇が抑えられることが明らかとなった. この結果から,咀嚼は過食の防止だけでなく,血糖値のコントロールの点からも生活習慣病予防に寄与できる可能性が示唆された.
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