研究課題/領域番号 |
15592099
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
引地 尚子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50292876)
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研究分担者 |
高戸 毅 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90171454)
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 講師 (20311938)
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キーワード | iNOS / antisense / gene targeting / gene therapy / bone destruction |
研究概要 |
1992年のザ・モレキュール・オブ・ザ・イヤーとして脚光を浴びたNO(一酸化窒素)は各分野でその重要性が明らかにされた。われわれは骨形成・骨吸収機構において、NOが重要な代謝調節因子であることを明らかにした(1997、2000)。NOを合成する酵素には、サイトカインの刺激により誘導されるinducible NO合成酵素(iNOS)と常に発現するconstitutive NO合成酵素(cNOS)の2種類がある。われわれは両酵素とも骨組織中に存在することを示し、iNOSが炎症における骨破壊に大きく関与していることを示した。しかも、cNOSから生じるNO自体には骨形成作用があるが、サイトカインの刺激により誘導されたiNOSにより産生されるNOは、同時に産生されるsuperoxide(O_2^-)と反応し細胞障害性の強いperoxynitrite(ONOO^-)に変化し、骨破壊をおこすという機構も明らかになった(2000)。さらに、iNOSのアンチセンス遺伝子を骨芽細胞に導入しiNOSひよるNOの産生を抑制することによって、炎症時の骨破壊機転が阻止されることも明らかにした(2003)。 本研究では、ヒトへの病原性を持たず効果が長期発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いたiNOS antisenseによる遺伝子治療が、関節炎ラットモデルにおいて有効か否か検討することを目的とした。その結果、AAVセロタイプの中で最も高い遺伝子発現を持つセロタイプを示し、さらにこのベクターを用いたiNOS antisense DNAが関節炎発症後の炎症および骨破壊の抑制に有効であることを示した。本研究の意義は、iNOSの制御により関節リウマチだけでなく変形性関節炎や難治性の顎骨骨髄炎などの炎症性骨破壊病変、歯周病、さらに顎関節症を治癒する道を開くことを可能にしたことである。
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