研究概要 |
汎用性が高くかつ安全な伝達麻酔法を開発することを目的として本研究を遂行している。従来の伝達麻酔法を改良し、しかも誘導電場を用いた新しい薬物浸透法を併用し、手技が容易で安全な麻酔法の開発を試みた。 本年度は従来から研究を継続している持続型留置カテーテル法を用いた伝達麻酔法をボランティアを用いて腋窩神経ブロックに適応した。用いた薬剤は2%リドカイン1Omlとした。以下2群に分けて評価をおこなった。従来の腋窩神経ブロック法に持続型留置カテーテル法を応用した群とその中で不奏効の例を抽出し、それに対して新しく製作した誘導電解付与用の電極を腋窩に装着して、1Khz,2Vの矩形波連続刺激を加えた群で比較検討をおこなった。麻酔の奏効は前腕部をフォンフライ、ピンプリックテスト、アルコール清拭テストによる感覚の変化で評価した。 その結果、通常の腋窩神経ブロックを行った群6例に対して、フォンフライ、ピンプリックテスト、アルコール清拭テストにより麻酔効果がえられた例が2例であり、不奏効であったものが2例認められた。その不奏効症例について誘惑電場による薬物浸透方式を適用し、1Khz,2Vの矩形波連続刺激を行った結果、2例ともフォンフライ、ピンプリックテスト、アルコール清拭テストによる感覚の評価にて麻酔効果を得ることができた。 本研究では症例数が少ないため、新しい薬物浸透方法の効果について評価を下すことはできないが、十分臨床応用に耐えられる可能性を秘めているものと推察された。
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