研究課題/領域番号 |
15592110
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20240872)
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研究分担者 |
宮脇 卓也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00219825)
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30157268)
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キーワード | 吸入麻酔薬 / セボフルラン / 下部食道括約筋 / 一酸化窒素 / 全身麻酔 / 嚥下 / 胃食道逆流 / 消化管平滑筋 |
研究概要 |
下部食道括約筋(lower esophageal sphincter ; LES)は通常は収縮し胃内容物の逆流を防いでいるが、嚥下にともなって弛緩し食塊等を通過させる.一般的に全身麻酔後には嚥下機能や気道防御機能が障害されることが知られており、LES機能も影響を受ける可能性がある.一方消化管の筋層間神経叢には末梢性NMDA受容体が分布することが知られている.その生理的役割については明らかではないが、吸入麻酔薬が末梢性NMDA受容体を介して一酸化窒素(nitric oxide ; NO)を介する弛緩反応に影響している可能性がある.本研究ではウサギLES等尺性張力変化測定モデルを用い、NO作動性である非アドレナリン非コリン作動性(nonadrenergic noncholinergic ; NANC)弛緩反応における末梢性NMDA受容体の役割および吸入麻酔薬セボフルラン(Sevo)の直接作用について検討した. マグヌス法でLESの等尺性張力変化を記録した.NANC弛緩反応はatropine, guanethidineの存在下でKCl(30mM)により誘発した.Sevoは専用気化器を通気回路内に設置し、混合ガスとともに一定時間通気投与した.バス中Sevo濃度はガスクロマトグラフ装置で測定し、LESの静止張力に及ぼすSevoの直接弛緩作用を観察した. NMDA受容体拮抗薬MK801は濃度依存的にNANC弛緩反応を抑制し、筋肉中cGMP濃度は低下した.NMDAは濃度依存性にLESを弛緩させ、cGMP濃度は上昇した.NMDAによる弛緩反応はMK801により拮抗された.また非特異的NO阻害薬N^G-nitro-L-arginine(L-NNA)はNMDAによるcGMP濃度の上昇を抑制した.Superoxide dismutase(SOD)はMK801によるNANC弛緩反応抑制の用量反応曲線を回復した(右方移動)が、catalaseはこれに影響しなかった.Cu/Zn SODを不活化すると、pyrogallol、ケタミン、MK801によるNANC弛緩反応抑制の用量反応曲線はさらに抑制(左方移動)された.Sevoは濃度依存性にLESを弛緩させた. 以上より、LESのNO作動性弛緩反応は筋層間神経叢の末梢性NMDA受容体を介した反応であり、部分的に細胞外のスーパーオキサイド産生によって調節されることが明らかになった.Sevoは濃度依存的にLESを直接弛緩させた.
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