研究概要 |
リンパ管新生は癌の増殖・転移において重要な局面である.しかしリンパ管の発生機構は未だ十分に解明されていない.本研究では新生したリンパ管同士のネットワーク形成の過程さらには所属リンパ節へのリンパ流ならびにリンパ路を明らかにしたい.ウイスター系ラットの舌を用い,リンパ管を描出するための5'-nucleotidase(5'-Nase)反応陽性リンパ管を確認しその分布,ネットワークを調べた.また,血管のマーカーとの二重染色で血管と併走する毛細リンパ管をかんさつしている.現在,創傷治癒モデルにおいて,血管新生に関与するVEGF(脈管内皮細胞増殖因子)ファミリーのうち,リンパ管新生を促進するといわれているVEGF-CのrecepterであるVEGFR-3/Flt-4の発現と局在を調べ,またリンパ管の核の同定に有効なProx1や血管系を描出できるCD31等の発現を観察し微小循環系(リンパ管・血管)の新生,再構築の状況を検索している.本研究では形態学的解析法として酵素・免疫組織化学法用いた光顕・電顕を用いたに加えて,組織化学SEM法を用いて新生リンパ管の微細構造,構築を観察している.
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