アドリアマイシンの自家蛍光の特性を利用し、蛍光顕微鏡を使用して、三叉神経節内での下顎神経を支配する神経細胞群の領域を明らかにするため以下の実験を行った。 Wistar系ラットを使用し、ネンブタール腹腔内麻酔後、オトガイ孔部を剖出し、アドリアマイシン溶液を下歯槽神経に注入し、神経の逆行性軸策輸送により、アドリアマイシンを三叉神経節に到達させる。一定時間後、ネンブタール腹腔麻酔下に経心臓性に2.5%パラホルムアルデヒドにて潅流固定を行い、三叉神経節を摘出する。摘出して組織を急速凍結して、連続凍結切片を作成し蛍光顕微鏡にて観察する。またその微弱な蛍光を顕微鏡デジタルカメラにて撮影し。再構築ソフトを使用して三叉神経節における下歯槽神経の神経細胞体が占める領域を構築する。 アドリアマイシンの至適濃度、生存期間、切片の厚さなどを検討し、実験を行ったが、蛍光が微弱なため濃度は、できるだけ高い方がよいが、溶解可能な濃度としては1%位が限界である。また生存期間は、軸策輸送によりアドリアマイシンが神経節に到達する時間内で、できるだけ短いほうが良いと考えるが、1日以上あれば到達することが判明した。切片の厚さは、20μに設定して行った。
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