研究概要 |
超音波による遺伝子導入法を用い、細胞増殖抑制効果が期待されるCytolethal Distending Toxin(CDT)を細胞に導入し、その効果をin vitroとin vivoにおいて明らかにする。 まず、最初はin vitroでの増殖が容易なCa9-22 cellを用い、遺伝子の導入効率を上げる方法を検討した。細胞を10%FCS含有DMEMにて370℃、5%CO_2の条件下にて培養し、超音波遺伝子導入法での遺伝子導入効率を評価した。超音波遺伝子導入法でβ-galactosidase発現Plasmid(pEF1α-βgal)を導入後、24時間でmediumを除去し各wellをPBSで洗い、X-Gal染色液(1mg/ml X-Gal(20mg/mlのDMSO溶液として使用)、2mM MgCl_2、5mM K3Fe(CN)6,5mM K4[Fe(CN)6]のPBS溶液)を加え37℃で一晩インキュベートした。染色後、顕微鏡にて青色の色素を観察した。また、遺伝子導入効率を上げるため、コントラストエコー用造影剤(Optison)を利用した。超音波遺伝子導入法は、まだ全般的に論文報告例が少なく、完全に確立された遺伝子導入法といえず、超音波の照射方法、その他最適条件を見出すにはまだいくぶん試行錯誤が必要である。現在、最も導入効率の良い条件(超音波の強度〔MHz, W/cm^2,duty ratio,〕照射時間、照射方法、プラスミド濃度、Optison濃度)を検討中で、20%の導入率を目標としている。また、軟骨細胞のcell lineを用い、同様に軟骨細胞への遺伝子導入効率の向上も検討中である。 今後、in vivoの系を確立し、アジュバント関節炎、さらには顎関節の抗原誘発関節炎に対する抗炎症効果を検証していく。
|