研究課題/領域番号 |
15592127
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 雅仁 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (60215845)
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研究分担者 |
城 茂治 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20154411)
佐藤 健一 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (90265174)
四戸 豊 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (30347885)
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キーワード | 脊髄後根神経節 / 神経細胞 / 衛星細胞 / カルシウムイオン / ATP / イメージング |
研究概要 |
前年度、脊髄後根神経節(DRG)の神経細胞では、その細胞のタイプ(大型・小型)によってATP刺激に対する反応性が異なる可能性が示唆された。そこで本年度では、成熟・分化の過程におけるDRG神経細胞のATP刺激に対する反応性の変化を明らかにするために、成熟ラットと胎齢20日(出生直前)のラット(未熟ラット)の両者からDRGを摘出、標本を作成し、各種刺激薬を投与してカルシウムイメージングを行った。それにより得られた結果を示す。 1.DRG神経細胞では、ATP刺激に対して成熟・未熟ラットともに細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+]i)増加が観察された。しかし反応する細胞は少なく、1視野中未熟ラットでは約0.5%、成熟ラットで約3%の細胞で[Ca2+]i上昇がみられた。DRGにおいてP2受容体が機能している神経細胞は少ないことが示唆された。 2.α,β-MetATP、UTP、細胞外Ca2+free環境でのATP刺激によって得られた結果から、成熟未熟にかかわらず、DRG神経細胞では、P2XおよびP2Y受容体両者が発現していると考えられた。 3.神経細胞に比べ、成熟未熟にかかわらず多くの衛星細胞がATP刺激に対して[Ca2+]i変動を示した(約40〜43%)。衛星細胞が機能的にも有害刺激から神経細胞を防護するバリアとして働くことが示唆された。 4.衛星細胞で、未熟ラットではATPに対する反応は単発性であったが、成熟ラットではスパイク状の変動が律動的に繰り返される現象がしばしば観察された。衛星細胞では、成熟発達段階で[Ca2+]i変動機構が変化している可能性があると考えられた。 5.α,β-MetATP、UTP、細胞外Ca2+free環境でのATP刺激によって得られた結果から、衛星細胞でもP2XおよびP2Y受容体両者が発現していると考えられた。 6.今後は、以上の結果をふまえて、成熟/未熟DRG神経細胞・衛星細胞に対する麻酔作用の画像解析を行う。
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