研究概要 |
本年度では、Fura-2/AMを負荷したブタ舌動脈、冠動脈および肺動脈血管平滑筋に対する歯科用局所麻酔のひとつである塩酸メピバカインの作用について等尺性収縮および細胞内カルシウムイオン(以下:[Ca^<2+>]_i)濃度変化を同時測定した。 H15,16,17年度で行った各種条件下で実験の結果から、アドレナリンおよびノルアドレナリンは舌動脈と肺動脈血管平滑筋に対しては収縮作用を示したが、冠動脈血管平滑筋に対しては収縮作用を示さないことがわかった。この結果をふまえて舌動脈、肺動脈、冠動脈血管平滑筋に対し収縮作用を持っ高KCI刺激(40mM KCl)を投与してから各種濃度の塩酸メピバカインを投与することにした。 ・高KCl(40mM KCl)投与時の各濃度の塩酸メピバカインの作用について 塩酸メピバカインの濃度は0.1(4.0mM),0.01(0.4mM),0.001(40μM),0.0001(4.0μM),0.00001%(0.4μM)を40mM KCl投与時に追加投与を行った。 結果 40mM KCl刺激時に各濃度の塩酸メビバカインを投与したところ、舌動脈および冠動脈では4μM塩酸メピバカイン投与時に、肺動脈では0.4μMおよび4μM塩酸メピバカイン投与時に収縮張力および[Ca^<2+>]_iの増加がみられ、舌、冠および肺動脈では40マイクロM,0.4mM,4.0mM塩酸メピバカイン投与時には収縮張力および[Ca^<2+>]_iの減少がみられた。塩酸メピバカインによる舌、冠、肺動脈血管平滑筋収縮および拡張は[Ca^<2+>]_iの増減が関与することが示唆された。また、塩酸メピバカインは40μM以上の濃度では40mM KCl刺激による収縮を抑制することが示唆された。
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