研究概要 |
口腔の紅斑や白班を伴う粘膜病変を有し臨床的に口腔カンジダ症が疑われた症例中,クロモアガーカンジダ培地に陽性を示し,本研究の趣旨に同意を得た患者54例から,治療前治療後に延べ121検体の唾液サンプルを採取し、ELISA法を用いてカンジダ菌の特異抗原であるカンジダマンナン値の測定を行った。またコントロールとして臨床症状がなくカンジダ選択培地陰性の成人15名の唾液中のカンジダマンナン値を測定した. これらを分析した結果,カンジダ選択培地により口腔カンジダ症と診断された症例では、コントロール群に比べてカンジダマンナン値は有為に高値を示した。また菌数が多いほど検査値は高い傾向がみとめられ、この検査法の診断手段としての有用性が示された。また抗真菌剤の投与によりカンジダマンナン値は低下する傾向があり、それとともに自他覚症状の軽減がみられた。よってこの検査が口腔カンジダ症の治療効果の判定にも役立つものと考えられた。一方で,カンジダ菌の菌種としてはCandida albicansに比べてCandida grablataに対する感度は低かったが、これは検査の基準となっているカンジダマンナンの性質によるものと思われた。
|